先日、家族と富士登山に挑んだ。主人と私は富士登山のベテランであり、子供も3年連続で登頂していることから、今回は上級者向けで最も過酷なルートと言われる御殿場ルートに初めて挑戦することにした。登山に向けて、持ち物の入念なチェックや体力向上のための早朝ランニング、練習登山など、事前の準備をしっかりと行い、当日に臨んだ。当日は台風25号の影響で、天候がかなり悪かった。午前3時に登り始めたものの、強い雨に加え、気温も3℃ほどしかなく、体力を大きく消耗した。そのため、6合目に到着するまでに5時間ほどかかってしまった。少し休憩して6合目を出発すると、強い雨に加えて風も激しくなり、厳しい状況が続いた。何とか8合目に到着したが、登り始めてからすでに8時間が経過していた。そのとき、子供の様子がおかしいことに気づいた。手が赤く腫れ、冷たくなっていたのだ。手袋をしていたものの、雨で濡れてしまい、冷たい風にさらされたことで、軽い凍傷になってしまっていた。応急処置をしたが、この状況で頂上を目指すのは危険だと判断し、やむなく下山することにした。下山を始めてしばらくすると、それまでの天気が嘘のように、一瞬、晴れ間が広がった。視界が悪くて気づかなかったが、すぐ目の前には宝永山の山頂が見えた。子供の様子も落ち着いていたため、立ち寄ってみることにした。宝永山の山頂からは、直径約1kmにも及ぶ巨大な火口を見下ろすことができた。まるで別の惑星にいるかのようなダイナミックな景色に、とても感動した。宝永山を後にすると、再び悪天候に見舞われ、その後の下山も大変なものとなった。今回の富士登山は厳しいものとなったが、私は2つのことに気づかされた。1つ目は、どれだけ準備をしても、万全とは言い切れないということ。2つ目は、無理に進むことだけが前進ではないということだ。頂上を目指すことを断念し、引き返す決断をしたからこそ、宝永山の壮大な景色に出会うことができた。この経験を通じて、時には引き返す勇気が、新たな発見や大きな学びにつながることを実感した。また来年も、富士登山にチャレンジしようと思う。