ハーモニカという楽器に、どのようなイメージを持っているだろうか。学校教育や玩具として出回っていることから「おもちゃの楽器」と考える方も多いかもしれない。しかし、ハーモニカにはプロの演奏者もおり、彼らが使用する高品質なハーモニカも製造・販売されている。ハーモニカにもいくつか種類が存在する。現在、特に有名なのは10ホールズハーモニカである。ギターと共に演奏する際にハーモニカをホルダーで固定して使用されているのは、この10ホールズハーモニカが一般的だ。他にも複音ハーモニカという種類は、微妙に異なる2つの音階を同時に鳴らすことで、哀愁漂う表現を可能にしている。その中で、私が特に推奨したいのはクロマチックハーモニカである。このハーモニカの最大の魅力は、単音の美しさと、単体で半音階に対応できるという点だ。半音階とは、楽譜ではシャープ(#)やフラット(♭)で示される音符のことで、ピアノで言えば黒鍵に相当し、本体の横にあるレバーを押すと、全ての音が半音高くなるという仕組みである。この独自の構造により、クロマチックハーモニカは幅広い表現力を実現している。さらに、ハーモニカは小型でありながら非常に広い音域を持つ楽器だ。例えば、穴が16個あるクロマチックハーモニカでは、4オクターブもの音域をカバーすることができる。このように、クロマチックハーモニカは手軽に持ち運べるサイズでありながら、驚くべきポテンシャルを備えた楽器である。オーケストラの場ではマイナーな存在ではあるものの、クロマチックハーモニカの魅力をより多くの人に知ってもらいたいと願っている。