ビジネス書を読むことはあるだろうか。ビジネス書は、仕事で必要となるノウハウを学ぶことができる本だが、私は『キングダム』を参考にしている。『キングダム』は、古代中国の春秋戦国時代を舞台に、後に始皇帝となる人物と、下僕から大将軍を目指す主人公を描いた作品だ。「漫画がビジネス書?」と思われる方もいるだろう。しかし、この作品は、リーダーシップや組織づくり、人材育成、戦略など、仕事に通じる多くの学びが得られる作品として高く評価されている。一時期「今、一番売れているビジネス書」というキャッチコピーがつけられるほど、多くのビジネスパーソンから注目を集めた作品でもある。この作品がなぜビジネス書として読まれているかというと、その理由の一つに「多様なリーダー像と組織論」が描かれている点がある。作中には、とにかく多種多様な思想やタイプを持ったリーダーたちが登場する。例えば、圧倒的な実力とカリスマ性でチームを牽引するリーダーもいれば、自らは凡庸でも人の才能を見抜く力があり、たとえ問題児であっても適切に扱い、大きな戦力に変えてしまうリーダーもいる。どのようなタイプのリーダーが、どのように関われば組織の士気が上がるのか。逆に、どのような言動が現場の士気を下げてしまうのか。こうした組織の動態が、リアルに描き出されている。他にも、作中の「国」を「会社」に見立てて読むと、ビジネス書としての面白みが増す。例えば、国が窮地に立たされ、一丸となって立ち向かったときの圧倒的な力強さが描かれる一方で、ある国ではイエスマンばかりで上層部を固めた結果、戦の功労者が不当に扱われ、内乱が起きてしまうなど、会社でも起こり得る組織の成功と失敗がリアルに描かれている。エンターテインメントとして面白いのはもちろんだが、ビジネス書としても、さまざまなことを考えさせられる作品である。現在も連載が続いており、かなり長編の作品ではあるが、ビジネス書の選択肢の一つとして、お勧めしたい。