昨日、社長の話にもあったが、日本政府が掲げる17の戦略分野の一つに「航空・宇宙」がある。その施策の一つとして、現在、JAXAが中心となって推進する「宇宙戦略基金」が始動している。この取り組みは、宇宙分野における民間企業や大学などの研究開発を資金面・技術面の両方から支援し、日本の宇宙産業の発展を目指す総額1兆円規模のプロジェクトである。これは一過性のブームではない。宇宙開発の「産業化」が本格化しつつある今、日本の未来を見据えた必然の投資である。宇宙開発といえば、これまでは国家主導で進められてきた印象が強い。日本にはJAXA、アメリカにはNASA、ロシアにはロスコスモス、欧州にはESAがあり、近年では中国やインドも宇宙開発に力を入れている。しかし、この構図は大きく変わりつつある。ここ数年、宇宙開発に参入する民間企業が急増し、宇宙開発の産業化が本格的に進み始めているのだ。宇宙は夢やロマンを追い求める「フロンティア」から、社会や生活を支える「インフラ」へと姿を変えつつあるのである。民間宇宙開発では、アメリカが世界をリードしている。その代表格が、イーロン・マスク氏率いるSpaceX社である。同社の年間ロケット打ち上げ回数は、2020年の25回から2023年には96回、さらに2025年には165回へと飛躍的に増加した。また、衛星通信サービス「スターリンク」では9,000機を超える人工衛星を運用し、地球規模のインターネットインフラを構築している。宇宙開発の産業化は、今後さらに加速していくだろう。例えば、地球と月を結ぶ通信インフラの整備や、月面・小惑星から採取した資源の活用など、これまでSFの世界で描かれてきた産業が現実のものとなろうとしている。日本が宇宙開発の最前線を担う未来を実現するためにも「宇宙戦略基金」がその起爆剤となることを期待したい。そして、このような国家プロジェクトを通じて、日本企業が新たな技術や産業を生み出し、世界で存在感を発揮していくことを願っている。