私は、『ミステリと言う勿れ』というマンガを読んでいる。少し前にドラマ化もされたので、ご存じの方も多いかもしれない。独自の視点を持つ主人公が、人の心理や記憶に基づく推理によって事件を解決に導き、同時に関係者の感情をも解きほぐしていく――読者にもハッと気づきを与えてくれる、そんな魅力を持った作品だ。その中の一編に、ある女性刑事が登場する回があった。男性社会の現場で懸命に努力する彼女に対し、上司は「お客様体質もほどほどに」と告げる。女性刑事はそれを「指示待ち人間」「主体性がない」といった否定的な意味だと受け取り、無理を重ねてしまう。しかし、上司の真意はまったく逆だった。それは「自分は一人で戦っているわけではなく、周囲にいる人たちは仲間であり、頼ってよいのだ」というメッセージだった。このエピソードを読んで、私自身の経験が思い出された。私も一人で何とかしようとしては失敗し、そのたびに社長から「もっと周りを頼れ。一人でやるな」と言われていた。このマンガを通じて、仲間を信じ、助け合いながら仕事に取り組むことの大切さを、改めて考えさせられた。