まずは皆に自問自答してもらいたい。「自分は自社で必要な存在だと感じているか?」会社は組織であり、集団行動が基本である。よって、会社は皆の生活基盤であり、生きるための条件や手段でもあるといえる。とすれば、今いる会社内での自分の立ち位置や存在は、極めて重要な問題ではないだろうか。「働きアリの法則」を知っている人も多いと思う。アリの世界では、よく働くアリが2割、普通に働くアリが6割、働かないアリが2割という2:6:2の割合になる。この法則は進化論や遺伝学の見地からも立証され、普遍的かつ合理的なものである。実験では、怠けアリを排除しても新たに怠けアリが2割現れ、逆に優秀なアリだけを残しても、やがて2割が優秀、6割が普通、2割が怠けアリという構成に落ち着くことが確認されている。つまり、一見不要に思える怠けアリも、余力やリスク回避を担う特殊部隊のような役割を果たしており、組織にとって必要な存在であるということだ。蟻の世界ではこの仕組みが本能として組み込まれているが、人間社会にも十分当てはめて考えることができる。この法則を理解すれば、社員一人ひとりが自分の立ち位置の意味を見出せるはずだ。結論として、組織は継続的な実働以外でも、自己の存在意義を理解していれば不要な人間はいないのである。