最近世間を賑わせている企業や団体の不祥事の背景には、職場の風通しの悪さが一因としてあるのではないかと考える。何か問題が発生する際には必ず兆しがあり、それをいかに早い段階で組織として察知し、対応できるかが、不祥事防止の鍵となる。近年では警察官、教師、税務署員といった公務員、さらには金融機関等でも不祥事が相次いでいる。事件や不正の兆しがあっても、適切な人に情報が届かなければ意味がない。もし、何も言えないような職場環境であれば、前兆を見て見ぬ振りをし「自分には関係ない」と行動を避けてしまうこともあるだろう。だからこそ、何でも相談できる風通しの良い職場環境が必要である。もっとも、相談しづらい心理的要因も存在する。周囲の目を気にして恥ずかしい、プライドから弱みを見せたくない、過去の相談経験によるトラウマなどがその例だ。近年は企業でもカウンセラーや相談窓口を設置し、相談しやすい環境づくりを進める動きが広がっている。当社においては、マネージャや部長が日々しっかりと管理を行っているが、それに加え、挨拶や御礼を忘れない、社員同士がリスペクトを持って業務を進める、悪口を言わない、ミスを共有するなど、日常的な行動を積み重ねることが重要だ。そうした取り組みを続ければ、職場環境はさらに良くなり、不祥事の兆しがあっても事前に皆で対処し、防ぐことができるはずである。今後も風通しの良い職場環境を維持・向上させられるよう、社員一人ひとりが意識して行動してほしい。