皆に自問自答してほしい。今の自分はどうあるべきなのか。およそ40年前、私が勤めていた会社で「お局様」と名高い課長と喧嘩をしたことがある。当時、社長の意向をすべてアナログで管理していた課長は、代役が務まらないほどのやり手だった。しかし、システム化を提唱した私と対立することになったのである。彼女は、自分の立場と尊厳を守ることを最も重要視しており、まさに唯一無二の存在であった。月日が経ち、私が提案していた会計システムや営業管理ツールを導入するチャンスが訪れた。担当課長は、当初、私に激高し、強く反発したことを今でも覚えている。話は変わるが、ドイツの名将モルトケ将軍の言葉をご存じだろうか。組織に①能力もあり野心もある人、②能力はあるが野心のない人、③能力も野心もない人、④能力はないが野心がある人の4種類がいるとする。経営陣が選ぶ序列は、なんと②、③、①、④の順だという。自分にしかできない「匠の技」に固執していても、組織が求めているものとは違う場合がある。結果として、その課長は渋々ながらも、自分の持つ技術を後輩へ引き継いでいった。そして「自分にしかできない仕事」を手放したことで、自らの生活にも余裕が生まれ、人を育てるスキルを身に付け、以前にも増して会社から信頼される存在となった。私たちも「成りたい自分」と「求められる自分」が一致しているのか、時には振り返ってみるのも良いかもしれない。私たちは、退職して肩書を下ろせば、ただの一人の人間である。だからこそ、今のうちから後輩を育て、人材育成という新たな場でも活躍できる自分を目指してみてはいかがだろうか。