株式会社テイルウィンドシステムは、多摩地区の立川市に本社を構えている。最寄り駅である立川駅を通る中央線は、長い直線区間が続くことで有名だが、なぜこれほど直線的な線路を敷設できたのかご存じだろうか。一般的に鉄道は、商業が発展し住民が多く暮らす地域に敷設される。しかし、中央線が計画された当時、最も栄えていた地域は甲州街道(現在の国道20号線)沿いであった。そこで鉄道敷設の計画を持ちかけたものの「煙をもくもくと出して走る騒音の塊はいらない」と猛反対されたそうだ。その結果、新宿-三鷹-立川を結ぶルートが採用された。当時の沿線地域は人口が少なく開発も進んでいなかったため、長い直線区間を設けることができたと言われている。東京は大きく分けると、23区を指す「都内」と、多摩地域や島しょ部を含む「都下」から構成されている。「都下」という呼び方が生まれた背景には、多摩地域がかつて神奈川県に属していた歴史がある。地方行政には生活インフラを整備する責任があるが、当時の多摩地域は人口が少なく集落も点在していたため、行政運営の負担が大きかったとされ、そのため、多摩地域は東京府へ移管されることとなった。現在、多摩地域には東京都全体の人口のおよそ3割が居住しており、首都圏有数のベッドタウンとして発展している。かつては過疎地域であった場所が、多くの人々が暮らす街へと成長したのである。身近な地域で、このような歴史の積み重ねがあると思うと非常に興味深い。